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EMA事務局通信651

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EMA事務局通信651                                  2017/11/16

  ■□ 【 コ ラ ム 第 58 回 】
 
                    「ドイツのSNS対策法」

          慶應義塾大学 教授 /
          EMA審査・運用監視委員会委員 鈴木 秀美
                            □■
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会員及び関係者各位

モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)事務局です。
平素は当機構の活動にご協力いただき誠にありがとうございます。

今回は、EMA審査・運用監視委員会委員である、慶應義塾大学 教授
鈴木 秀美 先生にご執筆いただきました。

コラム第58回をお届けいたします。

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                    「ドイツのSNS対策法」
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慶應義塾大学 教授 /
EMA審査・運用監視委員会委員 鈴木 秀美

2017年6月、ドイツ連邦議会はSNS対策法を成立させた(同年10
月1日施行)。同法は、登録者200万人以上のSNS事業者に、苦情
を受け付け、明らかに違法な投稿を24時間以内に、違法な投稿を1
週間以内に削除又はブロッキングすることや、苦情対応についての
半年ごとの報告の提出・公表を義務づけた。SNS事業者は、判断
が難しい場合、苦情から1週間以内に、違法性の判断を自主規制機
関に委ねることができる。同法は、自主規制機関の認証についても
定めている。(1)独立性と専門性の確保、(2)1週間以内の迅速な審
査の確保、(3)審査の範囲や手続等についての規定、(4)苦情受付窓
口の設置などが認証のために必要となる。SNS事業者が報告の提
出・公表や苦情対応の義務を果たさなかった場合、秩序違反として
過料が科される(最高額は5000万ユーロ、約65億円)。

SNSの普及に伴い、ドイツでは、ヘイトスピーチや名誉毀損など
刑法で禁止された表現が投稿されながら、削除されずにそのまま掲
載されていることが問題視されるようになった。とくに議論になっ
たのが、ヘイトスピーチである。特定の集団や住民の一部を対象と
して、公共の平穏を乱すように憎悪をかき立てることが民衆扇動罪
(刑法130条)として禁止されているにもかかわらず、2015年、多
数の難民が押し寄せたことがきっかけとなり、難民や難民支援者に
対するSNS上のヘイトスピーチが急増した。2016年のアメリカ大
統領選挙でフェイクニュースが問題化したこともあり、政府や連立
与党の中で、2017年9月の連邦議会選挙の前に何らかの対策を講じ
るべきだという声が高まり、立法に至った。

SNS対策法のため、高額の過料をおそれる事業者が、違法ではな
い内容の投稿まで安易に削除するようになることが懸念されている。
SNS上の表現の自由を尊重しつつ、違法な投稿への実効的な対策
を講じることができるのか、今後の運用を注視していきたい。

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【鈴木 秀美(すずき ひでみ)プロフィール】
慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所 副所長、教授。
大阪大学名誉教授。1959年生まれ・静岡県出身。北陸大学、広島大
学、日本大学、大阪大学を経て2015年4月より現職。専攻は、メディ
ア法・憲法・比較憲法。毎日新聞「開かれた新聞委員会」委員、
「NHK受信料制度等検討委員会」委員、関西テレビ「オンブズ・カン
テレ委員会」委員。主な著書に「放送の自由 増補第2版(信山社・
2017)」「よくわかるメディア法(共著:ミネルヴァ書房・2011)」
「インターネット法(共著:有斐閣・2015)」「放送制度概論−新
・放送法を読みとく(共著:商事法務・2017)」「憲法の発展1
−憲法の解釈・変遷・改正(日独憲法対話2015)(編著:信山社・
2017)」など。
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 ≪コラムについて≫
 「青少年のインターネット利用」をテーマに配信しております。
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  事務局までメールにてお寄せください。

    宛先:EMA事務局
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  どうぞよろしくお願い申し上げます。

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